日本に必要なDMOは、どのように機能するだろう。

ここでは、DMOというものが何なのを知っている前提で話を進める。

ここでのDMOは広域エリアに存在するものではなく、もっとスケールの小さなエリアに根付く、観光組織である。

これまで、地方を活性化する際の手法としての観光が注目されてきた。しかし、内実はマスツーリズムの悪影響を受けたマス化された商品やサービスが並び、国際競争が激しくなってきた昨今のグローバルな観光産業には太刀打ちできないというのが現状である。

ぼくは、この状況がとてもいいんじゃないと思ってる。それはなぜかというと、国際競争の激化が本来のツーリズムのあるべき姿を取り戻すことができるいい機会にもなり得る可能性があるからである。(ここは実際もっと深く考えないといけない所であるが)

それは、今後、グローバル競争に勝っていくためには、その地域でしかできない、地域の固有性を提供していけない状況だからである。

では、これを実現していくにはどうするか。それは地域の観光産業には全く関係のないような人を巻き込むということである。地域主体のまちづくりとあるが、地域の観光協会が色んな着地型商品を開発していても仕方がない。

地域の中には、農業の協会とか、女性の協会とか、子供達の集まりとか色んな集合体がある。このそれぞれが持っているユニークな特徴を資源にしてサービスを含めた商品にしていくことで、本当の意味でそこでしかできない経験を提供することができる。

これを観光客は求めているのだ!!

これは、「地域全体の動きにしていくためには、観光とは縁が遠い人たちを中心にして進めていくことが近道になる」という山田桂一郎氏の主張があるが、地域全体の動きにも結びついていくものになるだろう。

そして、ここでようやくDMOの登場である。DMOが担うべきポイントは2点あると考える。それは専門用語ではマネジメントとマーケティングだ。今あげたようなケースをもとに、もっと簡単に説明する。

一つがこのような、観光産業に関係のない人を巻き込み、動いてもらうのだが、そこからその人たちをくしで横刺しにする。つまり、それぞれのグループで行なっていることをモレなくダブりなく、軋轢を生むことなく、一つの方向に導くよう”マネジメント”する。

そして、もう一つが、彼らが作ったものの商品価値を高めて(ブランド化)、最も魅力的で欲しいと思ってもらえる潜在顧客にアプローチし、イメージを高め、観光客を呼び込む。それぞれがつくっぱなしでは、ただのお遊び程度で終わってしまう。でも、これを地域が豊かで幸せな社会になるために活用されていくためには、それぞれがやっていることにある種の色付けをして、外にアピールして、安定的に人を呼び込んでいかないといけない。これがマーケティングだ。

このような形でDMOが機能していければ、日本の地域社会に本当の豊かさと幸せが同時に生まれてくる。