アボリジニについて学ぶ!グリフィス大学での履修(追加科目)

先日紹介した三教科に加えてもう一科目履修をすることになりました。

Reconstructing the Aboliginal Australian という授業です。

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アボリジニとは?

オーストラリアに来てから間もなく、最初に関心を持ったことがオーストラリア先住民(アボリジニ人)の問題でした。

イギリスから来た人々が植民地開拓という形で土地を奪い取り、あらゆる形で「白人優位」の形を築いてきました。

これにより、アボリジニ人の文明というものは破壊され、1870年〜1970年ごろまでには親子を政府によって強制的に引き離して白人の元で育てられ(盗まれた時代)、白人社会の一方的な支配のもとで大きな溝をオーストラリア社会に生み出してきました。

この科目を履修するに至った経緯

この問題に対して観光をどのように活用していけるかを考えていた時に、先日アデレードまで訪ねにいった教授に出会いました。

そして、先日、その教授が行なっているプロジェクトにインターンという形で巻き込まれることが決まりました(ビザがうまくいけば)。

簡単に言うと、このプロジェクトに貢献するためにアボリジニ文化をしっかりと学ぶことにしました。

そのインターンの内容がeducation for sustainability というプロジェクトです。

このプロジェクトの中では

学校教育→コミュニティ開発

という構図を持った取り組みがこれからなされようとしていています。

sustainable教育を学校で普及し、それを地域コミュニティレベルにまで広げていくことで、地域の文化を作り変えていき、グローバルな視点を持った社会的に良い地域を生みだす取り組みです。

このようなコミュニティ開発をしていく際にこれから取り組もうとしているのが、先住民の生活の知恵や培ってきた文明を現代の地域開発の中に組み込んでいくことです。これにより、持続可能な開発を行います。

持続可能な開発をしていくには、複雑な問題があり、逆にいうと、一つの問題の解決がすべての問題の解決に繋がったりもします。

なので、この下記の視点は本当に部分的な示唆ですが、例えば以下のような視点でアボリジニの学びを持続可能な開発に生かしていけます。

1つは、先住民の知恵や価値観が現代の持続不可能な社会に貢献できるという視点。

もう一つが、先住民の文化や価値観を組み込むことが、文化的にも精神的にも彼らを取り残さないことにも繋がるという点です。

「持続可能な開発」とアボリジニの学習のつながり

持続可能な開発を行っていく際に、大きく分けて3つの視点に分類することができます。

・経済

・環境

・社会

それぞれの分類のなかには複雑な構成要素が含まれていますが、これらの3つの視点から見て、社会の在り方が持続可能かどうかを検証し、持続可能になるための目標を掲げ、それをマネジメントしながら開発を進めていくことを持続可能な開発といいます。

この授業では、これまでの歴史の中で民族的に差別されてきた、民族の視点から社会を捉えなおし、この社会の在り方を問うという構成になっています。

普段、日常生活を送っていると気づかないことはたくさんあります。

でも、例えば、アボリジニ人のような人々が西洋人に日常的に差別され、社会システムとして抑圧されながらもその波にさからい、自分たちのアイデンティティや文化を守ろうとしています。

アボリジニの文化や歴史は、オーストラリアの学校教育の中でも、十分になされていないのが現状です。

歴史そのものが、西洋人の視点から作られているのでそれも無理はありません。

西洋人が作り上げた物語が、科学的に語り継がれて、また新たな物語により、それが強化され、あらゆるマイノリティの民族の人々にとってはおかしい社会が出来上がります。

これは、西洋人がマイノリティの人々を抑圧したいから行っているのではなく、彼らが優位に立ちたいから、行ってきたことであるという分析をしている人がいます。

このように、社会的に「不平等」な社会が招く結果は、簡単に言うと、社会秩序の乱れであり、社会権力の独占であり、さらには賃金格差の拡大でもあるのです。

だからこそ、持続可能な社会を実現していくには、この社会的な視点から、オーストラリアにおいては特に、先住民の視点から学ぶ必要があるのです。そして、この授業の題名でもあるように、Reconstruct(再構築)していく必要があるのです。

そして、ソーシャルなツーリズムへのつながり

そして、この視点をコミュニティの開発に導入していくことでなにが起こるのか。

このような形で再構築されるコミュニティは、地域の歩んできた歴史をしっかりと残した、文化的にも豊かでユニークな地域が生まれます。

地域の文化に、アボリジニの視点も導入され、そこを訪れた人たちは、普段の生活では学べない視点から観光滞在を経て学ぶことができます。その場所に住んでいる人たちが、持続可能な社会について、学んで、生活を送っているからこそ、観光客にも訴えるものがあります。

さらに、その地域においての文脈のなかで持続可能性を目指して、作り上げた「場所」では、その地域でしかない「持続可能な形」の姿があります。

こういう場所での、ローカルと観光客との相互作用がソーシャルなツーリズムにつながると考えています。

その地域の意思が、社会をよりよくする方向へ訪れた人に訴えかける。これがソーシャルな観光になると思います。

「持続可能なツーリズム」は、このソーシャルな観光を構成していくための、大きな観点です。

持続可能な観光そのものは、ソーシャルな観光ではなくて、この観点から開発を行うことで、地域のソーシャルな観光の部分が湧き出てきて、それがソーシャルな観光を生み出すというイメージです。

 

 

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